生前整理とは?
自分と家族の思い出を振り返る
生前整理をされる人が多くなっているといいますが、そもそも生前整理とはどのようなことを意味するのか良くわからない人も多いのではないでしょうか。生前整理は、自分が今まで活用し続けて来たすべてもしくは大半の家財道具を処分するなどの印象を抱く人も多いようですが、ここでのポイントは生前整理をした後の生活も考えることが挙げられます。仮に、生活に必要なものまで片付けてしまえば以降の生活に支障を与えてしまうので注意が必要です。
家財道具やその他の資産を整理するとき、家族との思い出を振り返ることである程度処分すべきものと残しておくべきものをわけることができるようになります。その思い出の代表ともいえるのが写真になりますが、これは家族で旅行に出かけたときに撮影したもの、人生の節目などお祝いのときに撮影したものも含まれますが、写真はデータ化することで保管するスペースをとることなく保存しておくこともできる便利なアイテムです。
家族との思い出が詰まった形があるモノも写真を撮影して保存しておけば、自分と家族の思い出を振り返ると同時に記念をそのまま残せるメリットもあるわけです。
最近は、パソコンを利用される人も多くなっていますのでデジタルカメラや普段利用しているスマートフォンのカメラを活用して、処分する必要があるものの中で家族との思い出がある品物はすべて写真にしておけば家の中をよりすっきり片付けるコツに繋がります。
残す家族に負担をかけない為に
生前整理では、今後の生活に必要なものを除いてすべて処分するのが一般的です。中には、遺品整理で苦労された人も多いかと思われますが、その苦労の多くはモノがあまりにも大量にあり、どこから片付ければ良いのかわからなかったり、他界した家族との思い出があるものが多いので中々片付けが捗らないなどが多いようです。
生前整理は自分の意志の中で不要な家財道具や資産を処分することですから、後から遺族に負担をかける必要もありませんし、残した品物が生活に最小限必要なものだけであれば遺族が片付けを行うときにも比較的楽にできるようになるわけです。
換価価値がある資産の場合には、相続問題もあるわけですから生前に高額なものを処分して生前贈与といった形にしておけば自分が他界した後の相続対策にも有効ですし、遺品整理・相続の手続きなどスムーズに行うことができるようになります。
生前整理のメリット
一般的に生前整理と聞くと遺族のために行うものなどのイメージが強いのですが、生前に家財道具や資産を整理して片付けることは遺族でもある家族だけでなく自分にもメリットがあることを覚えておきましょう。
自分にとってのメリット
日本の法律の中では、15歳以上の人は有効な遺言書の作成ができるようになっています。この場合の有効な遺言書とは弁護士などに依頼して公的な効力を持たせることができる公正証書の作成ができる、故人が生前に公正証書による遺言書を作成しておけば相続の争いが起きることもなくなる、仮に子供がいない場合でも他の親類などに対して相続権を与えることも可能になるわけです。
これは一見残された家族だけのメリットのように感じる人も多いかと思われますが、自分の意思を書面に残すことができるメリットに繋げることができる部分です。
家財道具は今後の生活に必要なものだけを残す、これが生前整理の特色にもなりますので身軽になるなどのメリットもあるのではないでしょうか。極端な話では、ボストンバッグ一つに必要なものを入れて旅に出かけるなどのイメージです。
家財道具を処分すればすっきりとスリムな生活を送れるようになる、一見不便に感じるかと思われますが生活に必要なものだけを残していますので不便に感じることはありません。
身軽になると、今まで仕事などで忙しくていろいろなことを考える時間もなかった人などもこれからの人生について考える時間が増えて来る、残りの人生をより楽しく過ごすことができるわけです。
家族にとってのメリット
生前整理は家族にいろいろなメリットをもたらせてくれるわけですが、大半の家財道具や資産を処分してありますので故人が他界となったときの遺品整理は大幅に削減できる点が最大のメリットです。
公正証書による遺言書を作成しておけば、他界した後の相続争いが起こらない、遺言書に従い遺産を分配する、もしくは人の遺言者に対して相続することも可能になって来ます。
最近は核家族化が進んでいることからも老後はアパートなどで一人暮らしをするケースも多くなっていますが、アパートなどの場合は借り主となる人が他界した際にはなるべく早期の段階で大家さんに対して部屋を返さなければなりません。
生前整理のときにアパートも引き払っておけば家族側もアパートの退去手続きや部屋の中の遺品整理などをせずに済む、残った家族は必要最小限の家財道具だけを整理するだけで済みます。
生前整理の進め方
断捨離をしっかりすることが生前整理のコツです
モノへの執着をなくして自分を見つめ直す、より良い人生を送るための手法を断捨離といいます。生前整理は断捨離を如何に徹底できるかで整理の度合いが向上するといっても過言ではありません。
例えば、人はモノを集めることを趣味にしている場合、コレクションを如何に止めるかがポイントになって来るわけです。長年コレクションし続けたものを処分することは難しい、このように考える人も多いかと思われますが、モノへの執着をなくさなければ自分を見つめ直すことはできませんよね。
断捨離をするときには、短時間で済むような小さなところから順番に始めるのがコツです。最初から大掛かりになりそうな部分から初めてしまえば途中で挫折してしまい、生前整理が一向に進まない状態になりかねません。
2つ目のポイントは、断捨離する際にはすべて出すのが基本で引き出しの1段を片付けるときには、その中に入れてあるモノはすべて床の上に出して今後の生活に最低限必要と考えられるモノだけを残します。
購入の際に高価なものはそのままゴミで処分するのではなく売るように考えれば、勿体ないなどの気持ちも減り比較的容易に処分することができるようになります。
財産の目録の作成しておこう
財産は、家財道具を含めたすべての資産です。家財道具の中には洋服や身の回りのものなどが含まれていて価値がないものもありますが、財産の目録は基本的に相続税の対象になるものをリストアップしてまとめる形で行います。
例えば、預貯金・株式などの金融資産や不動産を所有している場合には土地の権利書なども目録と組み合わせておくと良いでしょう。マイカーやオートバイなども資産の一つですから目録に掲載するためにリストアップします。意外と見落としやすいのが、保険や死亡退職金などのお金です。生命保険の保険金や死亡退職金など必要に応じて記載することを忘れないようにしましょう。
目録を作成しておけば、それぞれの項目に対して誰に何を残すのか、財産分与を考える際に役立つ存在にもなって来ますし、遺族が相続税の目安を計算するときも役立ちます。もちろん、生前贈与を行えば一定の金額までは税金がかからないため、現金化しておいて少額を毎年生前贈与するなどの方法もあるのではないでしょうか。
保有財産に不動産があるときには、資産価値を最初に調査しておくことをおすすめします。その理由の中には、不動産は簡単に分配ができるわけではなく、相続の際にトラブルが起こりやすいからです。死去した後にその家に住み続ける家族がいるのか否か、相続税の対象になるのかなど総合的に考えた上で方向性を定めておくと安心です。
遺言書を作成することも重要です
遺言書は財産を誰に何を与えるのか、このようなことを記した書類で、生前に故人が書き留めたものとなります。遺言書は必ず作成しなければならないものではないこと、手書きで書くこともできますが、まず財産の中で資産価値があるものを保有されている場合、例えば不動産や車などの高額商品を所有している場合には相続権を決める際に必要になって来ます。
これに加えて、遺言書は法律の専門家でもある弁護士や司法書士などに相談することで法的な効力を持つ書面にすることもできます。手書きの場合は、本当に故人が生前に書き留めたものであるのか否かといった信ぴょう性において低めになりますが、弁護士などに依頼することで公正証書となり、法的効力を持つ遺言書になるわけです。
ちなみに、公正証書は当事者に依頼して第三者でもある公証人が作成した文書を意味します。弁護士に依頼する理由の中には、公証人を探すときに代行して貰えたり、遺言書に記載すべき内容についてのアドバイスを受けられるなどが挙げられます。
公正証書は公文書の形で取り扱いが行われるため、法的紛争のときに文書が真正であるなど強い推定力が働いてくれます。
エンディングノートを活用しよう
エンディングノートと聞いたとき、終活をイメージされる人が多いのですが、このイメージは間違いではありません。ただ、必要なモノを分類する財産情報を整理する際に便利なのがエンディングノートであり、新しいノートを使って自分の考え方に基づいてまとめても良いですし、本屋さんや規模が大きい文房具店などでエンディングノートを購入して利用する方法もあります。
市販されているものを購入した際には、何をどのように書いてまとめれば良いのか、ある程度のひな型が付いていることもあるので利用されると良いでしょう。市販のエンディングノートは自らの人生の歴史を記入できるタイプや事務情報だけを記載するタイプなどいろいろな種類があるので、目的などに応じて自分に合うものを購入しましょう。
財産情報を整理する記録帳などから、これを遺言書の代用にも使えるのではないか、このように考える人も多いかと思われますがエンディングノートは遺言の形での効力はありませんので、遺言を伝えたいのであれば別途遺言書の作成は必須です。
まとめ
生前整理は遺族のために行うだけでなく、自分の残りの人生を気軽に過ごすことができるなどのメリットがある作業です。一般的に生前整理では今後の生活に必要なモノだけを残し、他は全て処分するスタイルになりますが、不動産などを所有している場合は遺族のためにそのまま残すべきかそれとも処分すべきか家族間で相談しながら決めるようにしましょう。
仮に、住み続ける家族がいるのであればそのまま残しても良いのですが、相続する家族がいない場合には生前に売却して現金化する方法もありますよね。
生前整理は断捨離をしっかり行うことがポイントになって来ますが、断捨離のコツは大きくわけると5つあります。最初に行うことは断捨離の順番を考える、モノは一旦全て収納や引き出しの中から全て出す、断捨離すべきモノであるのか否かの分類を行う、高価な品物は捨てるのではなく売却して現金化する、断捨離をして成功した人のブログを参考にするなどが挙げられます。
また、相続税の対象になるような資産については、死去後に相続争いにならないよう遺言書を作成することも大切です。遺言書を作成する場合には弁護士などに相談して公正証書の形で作成しておけば、法的法力を持たせることができるため相続紛争を回避できます。