終活を始めよう。残された家族の負担を減らす方法とは?

終活を始めよう。残された家族の負担を減らす方法とは?

終活を行う理由とは?

近年になって終活を実施する人が増えていますが、それを真似て行おうとするだけでは意味がありません。正しく意義を把握してはおかないと、適切な効果を得られないので気を付けましょう。人生はいつか終わりを迎えるものであり、それは誰も避けられない運命となっています。
このゴールを見据えて、ポジティブな気持ちで用意をしていくことが非常に大事です。これこそが主な理由であり、葬儀についての価値観が変わっていくなかで広く考えられるようになりました。

自分の感情や想いを整理するための儀式という位置づけで考えている人もいます。それらが大切であることは誰にでも分かりますが、普通に暮らしているだけではなかなか実践する機会がありません。また、残された家族にとっても大きな意味を持っています。

自分の死は本人だけの問題ではなく、親しかった人たちに大きな影響を与えるからです。彼らが少しでも落ち着いた気持ちで対応できるようにすることも、自分にとって重要な責任だと認識しなければなりません。

実際に亡くなってからではその責任を果たすのは不可能です。そのため、将来をしっかりイメージしたうえで、元気なうちに準備を整えておく必要があります。

終活は人によって優先順位が違う

終活は比較的新しい概念であり、統一的な方法が定められているわけではありません。ただし、具体的な項目として挙がるものはだいたい共通しています。以下に挙げる3つは、そのなかでも特に実施されることが多いものです。それぞれの重要性を理解したうえで、どのように優先順位を付けるのか考えてみましょう。

葬儀の準備

死と切り離せない事柄として葬儀が挙げられますが、実際にその機会になると戸惑ってしまう人がほとんどです。一般の人は慣れる機会は少ないため、心構えをしていない状態で臨むとうまく行えない可能性が高くなります。

だからといって、家族の死を想定して準備をしておくのは気が引けるという人も多いでしょう。悲しい気持ちになりますが、本人に知られると不快な気持ちにさせてしまう恐れがあります。誰も準備しないままだと、いざというときに慌てて混乱するだけでなく、驚くほど高い葬儀代を支払うことになりかねません。

訃報によって精神状態が乱れているときに、葬儀代の相場などを調べている余裕はないからです。そのため、本人がみずから用意しておくことがポイントになります。

また、葬儀のための連絡をスムーズに行えないことも問題の一つです。家族でも互いの交友関係を細かいレベルで把握できていない場合があります。誰を呼べば良いのか分からずに、本当に仲の良かった友人などを見落としてしまう恐れもあるのです。自分の葬儀にそのような人たちを呼んでもらえないのは無念でなりません。

しかし、亡くなってからでは自分で人選するのは不可能です。そこで葬儀の準備としてピックアップを済ませておくことも重要になります。これまでの人間関係を思い出して、大切な人たちの顔を思い浮かべてみましょう。

遺影の用意

遺影は葬儀や供養に欠かせないアイテムの一つです。一般的には遺族が選ぶものですが、その選択が本人にとってベストとは限りません。他人の葬儀に参列したときに、生前の印象と違って違和感を覚えた経験がある人もいるでしょう。

もっと良い写真を選んであげてほしいと感じた人もいるかもしれません。選択にはセンスが必要なので、良くないものを飾られてしまう可能性も十分にあるのです。そのようなリスクを避けたいなら、あらかじめ自分で選んでおくのが得策です。

遺影の写真は、単にその場限りの形式的なアイテムではありません。それを見た人の心の中に長く残り続けることになります。最後に目にした元気な顔として記憶に定着しやすいからです。そのため、いつまでも覚えておいてもらいたい写真を選びましょう。自分で判断するのが難しいなら、家族にどれが自分らしい写真か尋ねてみることも一つの手です。

写真が劣化しているように感じたら、専門業者に依頼することで鮮やかに復元してもらえます。

エンディングノートの作成

自分の情報を後世に残すため、エンディングノートを用意することも必要です。財産や貴重品をはじめとして、自分以外が正確に把握していない事柄を書いておきます。代表的なものとして口座番号や暗証番号が挙げられますし、インターネットで使っているパスワードなども対象です。
遺書と似た位置付けの書類ですが、こちらに法的な意味合いはまったくありません。自分が亡くなった後で参照してもらう備忘録という認識を持っておきましょう。ですから、自分本位ではなく、他人が見ても理解しやすい書き方を心がけることが大事です。

書き方にルールはありませんが、人気のあるフォーマットは存在します。いろいろなメーカーから発売されているので、自分に合っていると感じるものを選ぶと良いでしょう。

上述の葬儀に呼んでほしい知人や友人の連絡先をこちらに記載しておく人も多いです。

終活のメリット

具体的な終活の項目が分かっても、どのようなメリットがあるのか理解できない場合もあるでしょう。実施した場合とそうでない場合とでは、さまざまな面で違いが出てきます。もちろん、何もしないほうが生前の負担は少なくなりますが、それに対するデメリットは大きいので注意してください。ここでは主なメリットを3つ紹介するので、正しく把握したうえで準備を進めていきましょう。

家族の負担を減らす

人が亡くなると、残された人たちには多くの作業が発生します。葬儀だけでなく、市町村役場での手続きや遺品の整理などその量を踏まえると重労働に相当するぐらいです。分担できる人数によって変わりますが、これらは決して軽い負担ではありません。

そして、自分が亡くなったときの家族の心境を考えてみましょう。分かりにくければ、最愛の人の最期をイメージしてみてください。あまりの悲しさに涙が溢れてきて、茫然自失になってしまうケースも多いと思われます。そのような状態で、これらの作業を的確にこなしていくのは困難です。

作業に専念できるなら対処できるかもしれませんが、残された人たちには仕事や生活があります。そちらが忙しいというケースも多く、なかなか進められない状況に陥ることも珍しくありません。あまり負担が大きいと、無意識のうちに亡くなった人に対してネガティブな印象を持つこともあります。自分をそのような状況に追い込んだ人物と見なしてしまうからです。そのような思われてしまうのは本意ではないでしょう。

自分の大切な家族だからこそ、彼らの負担を軽くしてあげることが大事です。それを行えることは重要なメリットであり、自分と家族の両方にとって大きな価値があります。

人生の振り返り

好きな著名人や歴史上の人物が歩んできた道のりを知っている人は多いでしょう。いろいろな媒体で紹介されていたり、ドラマや映画になっていたりするケースもあります。それに対して、自分自身の人生を見つめ直す機会は意外と多くありません。
明確に行ったのは、就職活動の履歴書を作成するときぐらいでしょう。それも仕事や学業にスポットライトを当てたものであり、人生全体を振り返ったとはいえないのが実情です。自分がどのような道のりを歩んできたのか不明瞭なまま、最期に向かって進んでいくのは好ましくありません。

形式的に実施するのではなく、アルバムなどを見ながらリアルに思い出していきましょう。自分が何を大切に感じ、どのような努力をしてきたのか考えてください。すっかり忘れていたことを多く思い出せるかもしれません。自分の人生が意味のあったものだと感じて喜ばしい気持ちになるでしょう。

最期の時に思い残しが無くなる

人は亡くなるときに、これまでの人生を思い出すといいます。そのときに後悔が次々と出てくるというのも有名な話です。仕事に没頭しすぎず、もっと家族と向き合う時間を持てば良かったと思う人もいるでしょう。

その他にも、いろいろなパターンがありますが、いずれも最期に思うだけでは取り返しがつきません。一方、事前に人生を振り返っておけば、早い段階でいろいろな事柄に気付くことも可能です。その状態を脱却できることは大きなメリットであり、今後の人生を豊かにするうえでも欠かせません。

足りないと感じることがあれば、最期を迎えるまでに実施する計画を立ててください。配偶者や子どもとの触れ合いが少ないなら、旅行のプランを一緒に考えてみるのも良いでしょう。趣味をもっと楽しみたかったのなら、そのための時間を多く確保するという手もあります。思い残しがなくすために必要なことを列挙していくことがポイントです。

特に大切なものから順番に行っていくと後悔が少なくなります。

まとめ

ここまでの内容を知っていれば、たいていの場合はスムーズに終活を行っていけます。ただし、多くの人が失敗しやすい点もあるので注意してください。そのなかでも以下の2点は特に警戒すべきものです。事前に知っておくと回避しやすくなるのでチェックしておきましょう。

1人で進めない

人間は誰でも最終的には一人で最期の旅路につきます。死後の世界にまで家族や友人についてきてもらえません。これは重要なことですが、その意識が強すぎると準備も一人で済ませようとしがちです。

しかし、自分が決めた葬儀などの内容に、家族が不満を抱いてしまう可能性もあります。家族のために行ったことで、そのような感想を持たれるのは本末転倒です。また、準備していたことを家族が知らないことで発生するトラブルもあります。たとえば、墓石を自分で手配していたにもかかわらず、家族が別に購入してしまうケースもあるのです。

こういったリスクを回避するには、できるだけ早い段階から情報を共有しておく必要があります。もしエンディングノートをつけるなら、完成させてから公開するのでは遅いです。作成を開始するときから、家族と打ち合わせしながら仕上げていくのが理想といえます。誰のために残すものなのか考えれば、相談が必須であることは容易に分かるでしょう。

自分本位にならないように気を付けて取り組んでいくことが重要です。

ネガティブな気持ちにならない

人間は本能的に生を渇望する生き物です。そのため、自分の死をリアルにイメージする行為は健全とはいえません。場合によっては、避けられない最期に対して絶望的な気持ちを抱くこともあるでしょう。笑って準備を進めたいと考えていても、イメージに臨場感が伴うほど悲痛な感情が湧き起こりやすくなります。そうなったら作業をいったん中止してください。

ネガティブな気持ちのまま取り組むと、エンディングノートの内容なども暗いテイストになっていくからです。酷い場合は、家族に対する不満を書いてしまうケースもあります。この時点で、もはやこの活動の意義はないといっても過言ではありません。

こちらの対処法として、周囲に感謝する気持ちを大切にしてください。その人たちのことを想って温かい気持ちになってから再開しましょう。作業が多くて苦しいと思ったときは、決して無理をしないことが重要です。このように、自分の心理状態をチェックしながら実施していく必要があります。

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