生前整理は高齢になる前に!老後の生活を不安なく過ごす秘訣とは

生前整理とは?

生前整理という言葉がよく使われるようになりました。自分も行っておいたほうが良さそうだと考えている人も多いでしょう。しかし、いきなり取り組むのではなく、まず何のために実施するのかよく理解しておく必要があります。少なくとも以下の2点については正確に理解しておきましょう。

自分の為でもあり、残していく家族の為

誰のための行為であるのか考えることから始めてください。そう言われると、迷うことなく自分のためだと答える人が少なくありません。それでは、どういう点が自分にとって必要なのか具体的に考えてみましょう。

生前整理とは文字どおり生前に持ち物などの財産を整理しておくことです。死後に持っていくことはできないので、それらがどうなるのか不安に感じることもあるでしょう。人に見られたくないものや誰かに譲りたいものなど、いろいろとこだわりがあるのは当然のことです。亡くなる前にそれらを済ませておくことは自分のためになります。そして、もし生前整理をしなければ、残された家族が対応することになるでしょう。

言い換えると、生前整理を実施するのは家族のためでもあるということです。

高齢になる前に出来る事は済ましておく

家族に迷惑をかけないためにも、生前整理を行っておくことは重要です。ところが、いざ実施しようとしても体が言うことを聞いてくれない場合もあります。高齢になると体力や筋力が衰えてしまうので、若い頃のように作業をスムーズに進められません。

また、年齢的に死が近づいていることをリアルに意識してしまい、現実から目を背けてしまうケースもあります。思考力が鈍ってしまい、どうすれば良いのか判断できなくなるケースも珍しくありません。このような事情があるため、高齢になってからで良いと気軽に身構えていると後悔する可能性があります。

遠い未来のことのように感じるかもしれませんが、心身が健康であるうちに済ませておいたほうが安心です。

生前整理の手順

たとえ生前整理の必要性を理解しても、やみくもにスタートするのは良くありません。まずは具体的な手順をチェックしていきましょう。基本的には次の3段階で進めていくと円滑に進めやすいです。

まずは「もの」を整理する所から

自分の周りを見ると多くのものに囲まれていることに気付くでしょう。廃棄したいものや思い入れが詰まったものなど、自分がそれらにどのような評価を下すのか確認してみてください。たとえば、手紙やアルバムなどは簡単には捨てられないと感じるケースも多いでしょう。

日記や趣味のグッズに対してもそのように思うことが多いと考えられます。だからといって、すべてを残していては生前整理は進みません。そこで次のような基準を設けて取り組むことが推奨されています。

今使用しているだけのものは処分するカテゴリに入れましょう。手元に残したいと考えているものも同じカテゴリで構いません。なぜなら死後の世界には持っていけないからです。もちろん、もう使っていないものも処分して構いませんし、即決できないものに関しても同様になります。

一方、誰かに渡したいものは廃棄せずに残すようにしましょう。それらは自分の死後も、誰かにとって価値のあるものになるからです。すなわち、自分のために残したいと感じるものは捨てて、それ以外は残すということになります。

パソコン等のデジタル機器

生前整理の際に見落としがちなものとして、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器が挙げられます。これらは簡単には廃棄できないケースもあるので注意してください。安易に捨てようとすると、中のデータが流出して困った状況になりかねません。

たとえば、銀行の口座番号や契約しているサービスのパスワードが漏れてしまうと、入手した人に悪用されてしまうリスクがあります。確実にデータを消去してから廃棄するように心がけましょう。データを消すためのソフトも販売されていますし、記憶媒体を物理的に破壊してしまう機器も存在します。それらを購入するのは負担が大きいため、廃棄の専門業者に依頼するのも一つの手です。

また、残ったファイルなどを家族に見られたくないという人もいるでしょう。家族としても見たくなったと感じるものが含まれている可能性もあります。それゆえ、自分や家族のためにデジタル機器を適切に廃棄することは大事です。家族も必要とするIDやパスワードがあるなら、生前に伝えておくことも忘れてはいけません。

サービスの解約や契約者の変更などを行えないなど、困った状況になってしまうケースも見受けられます。

高齢者施設に入居する際も生前整理は必須

家族に迷惑をかけたくないという理由で高齢者施設に入居する人も増えてきました。しかし、生前整理をせずに入ってしまうと、最終的に大きな迷惑をかけることになるでしょう。ましてや、高齢者施設で暮らしていると家に戻って生前整理をするのは困難になります。よって、入居するつもりなら、それよりも前の段階で生前整理を完了させておくのが基本です。高齢者施設で使用するものだけを選んで、それ例外は上述の方針で処分していきましょう。

とはいえ、高齢者施設に入るうえに物品まで処分するとなると、自分が本当に不要な人間になったようで悲しいと感じるかもしれません。ですから、自分を支えてくれそうな想い出の品を持参しても良いでしょう。もちろん大量に持っていくのは論外ですが、家族や家と離れる寂しさを紛らわせられるアイテムの存在は重要です。手に取ったときに安心感を覚えるかどうかが判断基準になります。

後悔しないように、生前整理の際に一つひとつ確認しながら選んでおきましょう。

生前整理が自分では出来ない場合

生前整理の手順が分かっても、さまざまな理由で自分で行えない人がいます。日々の仕事や家事が忙しくて時間を割けないケースもあれば、体が弱くて思い通りに取り組めそうにないケースもあるでしょう。その他にもいろいろな理由がありますが、いずれにせよ下のような方針で対処が可能です。

生前整理のプロに依頼する

高齢者を中心に生前整理をプロに任せる人が増えています。そう言われると、自分の財産の整理を他人にさせるのは怖いと感じる人もいるでしょう。しかし、この段階で実施しておかないと、遅かれ早かれ自分以外の人に任せることになるのです。家族などの親族の役割になることが多いですが、彼らが拒否した場合は自治体から派遣された業者などが担当することになります。
そのような目に遭うぐらいなら、自分の意識がはっきりしていうちに、その監視下のもとでプロに代行してもらったほうが良いでしょう。生前整理を望む人が増えて、代行のニーズも高まっているのが実情です。

したがって、業者も増加していますが上手く探せないという人も見受けられます。自治体に問い合わせるという手段もありますが、インターネットで検索するのが最も簡単です。条件を入力して一括で検索できるサイトもあるため、手軽に頼みたい場合は有効に利用すると良いでしょう。

プロに依頼するメリット

プロに頼むメリットがたくさんあることも大きなポイントです。代表的なメリットは短期間で生前整理が完了することです。普通の人にとって生前生理は初めての体験であり、手順が分かっていても戸惑ってしまう場面がよくあります。そのたびに手が止まってしまうので、完了までに何日もかかってしまうケースが少なくありません。

一方でプロは何度も担当してきているため、慣れた手つきでスムーズに作業を進めてくれます。どれだけものが溢れかえっていても、たいていの場合は1日もかけずに終わらせてくれるのです。さらに、健康を害する恐れがないこともメリットといえます。重いものを移動させる際に腰を痛めたり、すべて転んで骨折したりした事例は少なくありません。生前整理におけるそのようなリスクを回避できるのはありがたいことです。

さらに、判断に誤りが生じにくいこともメリットの一つです。自分だけで作業をしていると、どれも残したい気持ちになって一向に進まないことがよくあります。時間だけが過ぎて何も整理できていない状況になりやすいので注意しなけばなりません。

プロはアドバイザーの役割も兼ねているため、葛藤を払拭してくれるような助言をたくさんしてくれます。そのため、迷いやすい性格という自覚がある場合も、プロへの依頼を検討してみる価値があるでしょう。

依頼費用の相場は?

依頼にかかる費用は業者や内容によってさまざまです。たとえば、アドバイスだけを求めた場合は1万円以下で収まることも少なくありません。コンサルタント料という名目で請求される場合も同様です。一方、ものの処分をともなう場合は、作業料が発生することになります。こちらは1万円より多くかかるのは当たり前で、量によっては10万円を超えることもあるのです。押入れの中のものなども含めて大量に処分する場合、トータルで50万円ほどに及ぶケースも見受けられます。

ですから、相場は一概にはいえませんが、作業を依頼する場合は20万円ほどは用意しておいたほうが安心です。まずは見積もりを頼むことが重要であり、可能なら事前に現場を見てもらったうえで判断してもらいましょう。

あとでトラブルに発展することを防ぐためにも、基本料金とオプション代の内訳を聞くなど、料金について詳しい説明を受けておくことが欠かせません。

まとめ

最後に生前整理をするうえで直面する課題についても理解しておきましょう。その存在を知っておくと、事前に対策をすることで中断する時間を短くできます。具体的には以下の2点を踏まえて取り組むことで良い結果を得やすくなります。

生前整理をする事で見えてくる課題

家族に残す財産のなかには高価なものもあるでしょう。あいまいな状態で残して分配は家族に任せれば良いと考える人もいます。しかし、そのスタンスは後世に大きな火種を残すことになりかねません。相続の権利を巡って骨肉の争いが起こってしまう可能性もあるのです。

一方で家族で押し付け合うような問題になってしまうリスクもあります。たとえば大きな住宅を引き継ぐ立場になっても、それが不要で持て余すようなケースも見受けられます。管理や固定資産税の支払いを避けたいので、他の人に任せようとすることは珍しくありません。仲の良かった家族や親族が憎しみ合うような状況を作りだす恐れがあることを自覚しましょう。

これは課題の一例に過ぎませんが、いずれにせよ弁護士や税理士といった専門家に相談するのが対策の一歩になります。

マイナスな気持ちで行わない

上記のような課題があると分かると、ネガティブな気分になってしまうこともあるでしょう。それどころか面倒に感じて生前整理を取りやめようと思う人もいるかもしれません。

しかし、前述のように生前整理は自分や家族のために必要なものであり、マイナスな面ばかりに目を向けるのは間違いです。暗い心境になったときは、いったん落ち着いて自分の一生を見返してください。これまで多くの人に助けられてきたことに気付くはずです。生前整理はそのような人たちに感謝する気持ちを持って取り組むべき神聖な作業です。

人生のゴールを素晴らしいものにするためにも、ポジティブな姿勢で取り組むことが求められます。生前整理の意義を再確認したうえで有終の美を飾れるように努めましょう。

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