遺品整理における法的対応とは?トラブルが起きたときの対処法

遺品整理における法的対応とは?トラブルが起きたときの対処法

人が亡くなった際には、様々な法的対応が必要です。役所に死亡届を提出するだけではなく、他にも様々な手続きが必要なため、事前に確認しておきましょうまた、遺品整理を業者に依頼した際にトラブルになった場合も、示談交渉や訴訟などの法的対応が必要となります。人が亡くなり、状況が落ち着くまでは、様々なケースで法的対応が関わってくるため、ある程度の知識が必要です。ここでは、遺品整理における法的対応が必要なケースや対処法、人が亡くなったときの法的対応について解説していきます。

遺品整理における法的対応について

遺品整理は、親族だけで行うこともあれば、業者に依頼することもあります。遺品の数が非常に多く、不用品の処理なども必要な場合は業者に依頼した方がいいでしょう。業者は、プロの知識と技術を用いて、速やかに遺品整理してくれます。そんなプロの業者に依頼する場合でも、トラブルが起きて法的対応が必要になるケースがあります。また、法的対応と言えば、人が亡くなったときに役所に関連書類を提出することなども法的対応と言えます。人が亡くなり、遺品整理などをして状況が落ち着くまでに関係する法的対応を確認しておきましょう。ここでは、遺品整理や人が亡くなったときに関係する法的対応について、以下の項目を解説しています。

・亡くなったときに必要な法的対応
人が亡くなったときにとるべき法的対応について解説しています。

・遺品整理において注意したい法律
遺品整理を業者に依頼するにあたり、注意したい法律を解説しています。

・遺品整理で法的対応が必要になるケース
遺品整理を依頼した際に法的対応が必要になるケースを解説しています。

・遺品整理のトラブルでとるべき法的対応
遺品整理に関するトラブルが起きたときにとるべき法的対応を解説しています。

亡くなったときに必要な法的対応

亡くなったときに必要な法的対応はたくさんあります。法律で定められている必須な法的対応は次のとおりです。

死亡届の提出

亡くなってから7日以内に、所在地や本籍地、死亡地のいずれかを管轄する市町村役場に死亡届を提出する必要があります。死亡届では、医師による死亡診断書や警察による死体検案書を提出します。届出人の印鑑が必要なので持参しましょう。

火葬許可申請書の提出

死亡届を提出するときに、火葬許可申請書も提出しましょう。勝手に遺体を火葬することは法律で禁止されており、死亡届を受理した市町村長からの許可をもらう必要があります。

世帯主の変更

世帯主が亡くなった場合、世帯主の変更手続きを14日以内に行わなければなりません。住民異動届書を住所地の市区町村役場に提出しましょう。

健康保険や国民年金の資格喪失届出

協会けんぽに加入している場合は、5日以内に日本年金機構に届け出が必要です。また、世帯主が亡くなったことで配偶者が協会けんぽに入れなくなった場合には、国民健康保険に加入することになります。この場合、14日以内に市町村への届け出が必要です。

また、国民年金や厚生年金も市町村役場の年金課や年金事務所に資格喪失届出や年金受給権者死亡届(報告書)、年金手帳などを提出しなければなりません。期限は、国民年金が14日以内、厚生年金が5日以内です。

遺品整理において注意したい法律

遺品整理においては、法的対応を取らなければならないケースがあります。また、遺品整理業者が法律を守っているかどうか事前に調べておくことが大切です。法律を守っていない業者に依頼した場合、法的対応をとらなければならないようなトラブルが起こる可能性があります。遺品整理に関して、注意しておきたい法律は次のとおりです。

家庭系一般廃棄物収集運搬の許可を得ているか

遺品整理の業者は、家庭系一般廃棄物収集運搬の許可を得ていなければなりません。許可を得ずに遺品整理によって出たゴミを収集・運搬することは法律違反です。同じような許可に産業廃棄物収集運搬がありますが、これは事業によって出たゴミに関する資格です。遺品整理に必要なのは家庭系の許可のため注意しましょう。

古物商の許可を得ているか

遺品整理では、たくさんの不用品が出ることが珍しくありません。不用品は遺品整理業者に買い取ってもらえることが多いのですが、リサイクル品の回収と販売には古物商の許可が必要です。古物商の許可なく不用品を買い取ることは法律違反のため注意しましょう。

遺品整理で法的対応が必要になるケース

遺品整理業者のほとんどは良質と言えますが、一部の悪質な業者は犯罪行為によって依頼者に大きな損害をもたらすケースがあります。この場合、法的対応によって対処することになるでしょう。遺品整理に関して、法的対応が必要になるケースを詳しくご紹介します。

遺品の破損や紛失をされた

遺品整理の際には、大きな家具を運び出すケースがあります。その際には、複数人で家具を抱えて運ぶのですが、他の遺品を傷つけてしまうことがあるのです。この場合、業者が損害賠償保険に加入していれば、弁済される可能性が高いでしょう。しかし、保険に加入していない場合は、弁済を求めても渋られる可能性があります。

また、遺品が年代物の場合、価値を測ることが難しく、納得できない額しか補償されないケースもあり、遺族が納得できる形で収まるとは限りません。紛失された場合も同様です。紛失の場合は、本当に業者が紛失させたのか証拠を押さえる必要があります。

作業を始める前に、部屋にある遺品のリストを作成しておくことで、業者によって紛失されたのかどうかがわかります。このような事態を防ぐために、作業に同伴することをおすすめします。

遺品を勝手に処分された

感じのいいオペレーターが案内してくれたため、信用して遺品整理を依頼したところ、トラブルに巻き込まれたケースがあります。オペレーターの雰囲気と全く異なるガラの悪い作業員が来て、遺品を仕分けることなくトラックにのせ、全て処分された事例があるのです。

これは、遺品整理の業務内容を事前に確認しなかったために起きたトラブルです。具体的な作業内容を確認したうえで、依頼を検討しましょう。また、予想していたのと異なる業務だった場合は、作業を中止させることができますが、それでも無理に遺品を回収して捨てられた場合は、窃盗や器物破損の罪に問われる可能性があります。

遺品を盗まれた

悪質な業者の場合、骨とう品や貴金属などの遺品を盗まれるケースがあります。ここで問題になるのが、業者が盗んだところを見ていなければ追究が困難ということです。最初から価値のある遺品を盗むことを目的としていた場合は、盗んだことが発覚しないように、用意周到な計画を立てていることも予想されます。

そもそも、高価な遺品の存在に気づいていなかったため、盗まれたことにすら気づけないケースもあります。そのため、遺品整理の業者に任せるエリアの遺品を予めチェックしておくことが大切です。また、高価な遺品があるエリアの整理は親族だけでするなど、対策することをおすすめします。

法外な料金を請求された

ウェブサイトに記載の料金から大きく外れた法外な料金を請求される場合があります。○○円~としか記載されていないケースが多いため注意が必要です。見積もりの金額がそのまま請求されるわけではありませんが、大体の目安になります。見積つもりから大きく外れた法外な料金を請求された場合は、支払いを拒否しましょう。

勝手に作業人数を増やされた

見積もり時に聞いていた人数よりも多くの作業員が来るケースがあります。作業員が増えることで料金が高くなるなどといい、無理に料金を請求することがあるのです。依頼者の同意なく勝手に作業人数を増やすことは、合理的な理由がなければ認められません。

遺品整理のトラブルでとるべき法的対応

遺品整理のトラブルにあった際には、状況に応じて法的対応をとりましょう。その場で解決しようとしても、素人の知識では解決が困難です。不用意に相手を刺激することで、さらなる被害にあうことも考えられます。遺品整理のトラブルにあったときは、次のような法的対応をとりましょう。

警察を呼ぶ

遺品が盗まれた可能性が高い場合は、警察を呼びましょう。依頼者としては、業者の持ち物チェックなどはできませんが、盗まれた疑いが強い場合、警察であれば持ち物チェックが可能です。この場合、証拠隠滅を図ったり、別の作業員に盗品を別の場所に移させたりしないように、一ヶ所に作業員を集めましょう。そのまま警察の到着を待ち、警察官の支持に従ってください。

勝手に作業人数を増やされた場合は、作業の中止を要求しましょう。依頼者の許可なく家の中に入ることは不法侵入となるため、それでも無理に作業しようとした場合は警察に連絡してください。

また、止めているにもかかわらず遺品を全てトラックにのせて捨てられそうになった場合も警察を呼びましょう。警察を呼ぶ旨を伝えるだけでも、作業を中止する可能性があります。

損害賠償請求

遺品を傷つけられたり紛失されたりした場合、損害賠償保険に加入していないケースでは損害賠償請求が可能です。遺品の価値や精神的なショックに応じた賠償を求められます。損害賠償を求め、それに応じるとは限りません。場合によっては、訴訟を起こすことになるでしょう。ここで注意したいのは、訴訟は素人だけでは難しいため、弁護士のサポートが必要になることです。

弁護士に依頼する場合、着手金や実費、成功報酬など様々な費用がかかります。また、必ず損害賠償請求に成功するとは限りません。成功した場合、弁護士費用の一部を相手に負担させられる可能性があります。しかし、損害賠償請求が通らなかった場合は、弁護士費用の負担が重くのしかかります。

弁護士費用の負担を抑えたい場合は、法テラスを利用しましょう。収入や保有資産の基準を満たしている場合、無料法律相談や弁護士費用の一時立て替えを利用できます。収入や保有資産が少ないため、弁護士への依頼を諦めざるを得ない場合に相談しましょう。

国民生活センターへの相談

遺品整理の業者とトラブルになった際には、国民生活センターに相談するといいでしょう。詳しいトラブルの内容を伝えることで、どのように行動すべきかアドバイスをもらえます。場合によっては、事業者との間に入り、円滑な話し合いを促してくれます。その結果、良い形で和解できる可能性があります。

また、相談の段階で専門家のサポートが必要と判断された場合には、弁護士などの専門家を紹介してもらえます。

おわりに

人が亡くなった際には、死亡届出の他にも国民年金や健康保険などの資格喪失届の提出などが必要です。通夜や葬儀などに追われる中での対応となるため、予め確認しておくことが大切です。そして、遺品整理においては、トラブルが起きたときに法的対応が必要になる可能性があります。遺品整理業者は優良な業者ばかりではありません。許可を得ずに遺品整理業や買取業を行っていることがあります。法律を守らない業者は、作業の質も低く、何らかのトラブルになるリスクが高いでしょう。

遺品整理業者との間で起こり得るトラブルは、遺品の破損や紛失、盗難、法外な請求などです。いずれの場合も、法的対応をとることで解決する可能性があります。盗難の場合は、警察を呼んで、捜査してもらいましょう。遺品の破損や紛失は、損害賠償保険で弁済してもらうことをおすすめします。損害賠償保険に未加入の業者の場合は、損害賠償請求をしましょう。

弁護士への依頼には費用がかかりますが、損害賠償請求に成功すれば、損害を取り戻せる可能性があります。結果的に、損をせずに済むため、前向きに検討してください。遺品整理を業者に依頼する前に、法的対応が必要なケースと対処法を確認しておきましょう。